ここ数日、AIエージェントと一緒にいろいろな作業をしました。

創作物の出品準備、VPS上のbot監督、PCのブルースクリーン調査、gitリポジトリの整理、ローカルLLMを使った研究ループづくり、バックアップ確認。ジャンルだけ見るとバラバラですが、実際にやってみると、役に立った考え方はかなり共通していました。

先に結論を書くと、AIエージェント運用で一番効いたのは「すごい自動化」ではありませんでした。

むしろ、

  • 作業範囲を小さく切る
  • まずログと現物を見る
  • 壊してはいけないものを先に分ける
  • 実行したことを記録する
  • 最後に人間が判断する

この地味な部分でした。

この記事は、その実務ログから得たことを、できるだけ誇張せずにまとめたものです。


1. 「作る」と「出せる形にする」は別の作業だった

AI画像を使った小さなCG集のパイロットを作りました。

最初にできたのは、画像そのものです。数十枚の本編画像があり、テーマも決まっていて、雰囲気もそれなりにまとまっていました。

でも、それだけではまだ「作品を出せる状態」ではありません。

実際に必要だったのは、次のような地味な作業でした。

  • 本編画像をフォルダに整理する
  • サンプル画像を選ぶ
  • タイトル入り表紙を作る
  • 正方形サムネイルを作る
  • 紹介画像のサイズを合わせる
  • 登録フォーム用のJPEGを用意する
  • zipにまとめる
  • 紹介文、タグ、AI利用表記を書く
  • プレビュー画面で見え方を確認する

ここで学んだのは、成果物は「生成された瞬間」ではなく、提出先の形式に合わせて整った瞬間に初めて実用物になる、ということです。

AI生成では、画像を出すところだけが目立ちます。でも実務では、その後の整形、確認、ファイル名、サイズ、説明文、権利確認のほうが詰まりやすい。

「作品を作る」と「販売ページに載せられる形にする」は、似ているようで別工程でした。


2. VPSのbot監督は、まず「触らない理由」を探す

VPS上で動いているbotの状態も見ました。

この手の作業で怖いのは、ログを少し見ただけで「再起動したほうがいいかも」と思ってしまうことです。

でも、実際に必要だったのは逆でした。

まず確認したのは、次のような情報です。

  • VPSの時刻、uptime、メモリ、ディスク、load average
  • tmux上のbotセッション
  • botのheartbeat
  • 直近ログのERROR/WARNING
  • 外部APIの疎通
  • 過去のエラーが現在も続いているのか

結果として、その時点ではbotは正常にループしていました。過去に外部APIやDNSの一時的な失敗はありましたが、現在は復旧していて、bot自体が壊れている証拠はありませんでした。

なので判断は「触らない」でした。

これが大事でした。

本番系のbotでは、何かを直すことより、直さなくていいものを直さないことが重要です。ログを読まずに再起動すると、原因の証拠を消したり、正常な待機状態を壊したりする可能性があります。

AIエージェントに任せる場合でも、ここは特に慎重にしたいところです。

「変更する前に、変更しない根拠を確認する」

これはかなり使える原則だと思いました。


3. PC不調の切り分けは、仮説を一度に混ぜない

途中でPCが突然再起動する問題もありました。

Windowsのイベントログを見ると、ブルースクリーンやKernel-Power、WHEA系の記録がありました。最初はメモリ不良も疑いましたが、Windowsメモリ診断ではエラーなしでした。

その後、状況を聞き直すと「特定の通信ソフトがフルスピードで通信しているときに起きやすい」という情報が出ました。

そこから疑いは変わりました。

  • ネットワークドライバ
  • 大量通信
  • セキュリティソフトの通信フィルタ
  • UDP系プロトコル
  • NICの既知不安定

このあたりが候補になりました。

ここでも重要だったのは、「犯人はこれだ」と断定しすぎないことでした。

イベントログ、症状の出るタイミング、ドライバ、セキュリティソフト、メモリ構成を見て、可能性の高い順に並べる。変更は一度に一つだけにする。改善したら、何が効いたのかを分かるようにする。

PCトラブルは、焦ると全部一気に触りたくなります。

でも全部一気に変えると、直っても原因が分からない。再発したときにまた迷います。

「一度に一つだけ変える」は、古典的ですが本当に強いです。


4. git整理は、消す前に保護する

PC内のgitリポジトリも整理しました。

最初に見つかったのは、かなり多くのリポジトリと、そこそこ大きくなった .git ディレクトリ群でした。

ただ、ここでいきなり削除や掃除をすると危険です。

先にやったのは、次の確認でした。

  • 未コミットの変更はないか
  • 未pushのcommitはないか
  • remoteがあるか
  • local onlyの作業ではないか
  • サンドボックス由来の一時リポジトリか
  • third-party cloneで、後からpullしたいものか

そのうえで、未pushのcommitは先にpushし、ローカル作業はcommitし、サンドボックスの使い捨て .git だけを削除しました。

その後、複数リポジトリに git gc をかけました。

結果として、履歴を壊さずに容量を減らせました。

ここで大事だったのは、クリーンアップは削除作業ではなく保全作業から始めるということです。

「いらないものを消す」より先に、「失ってはいけないものを保護する」。

これを逆にすると、掃除のつもりで資産を壊します。


5. ローカルLLMの研究ループは、人間承認を残す

ローカルLLMを使って、研究メモを回す仕組みも作りました。

流れとしては、

  1. 研究カードを作る
  2. ローカルLLMに評価させる
  3. 次の仮説や実験候補を出す
  4. knowledge baseに追記する
  5. proposalとして採用候補に積む

というものです。

ただし、ここで大事なのは「自己成長」という言葉を盛りすぎないことです。

実際に作ったのは、勝手に本番へ反映するAIではありません。

あくまで、ローカル環境で仮説を増やし、メモを蓄積し、採用候補を出す仕組みです。採用や本番反映には人間の確認が必要です。

この境界を残すのがかなり重要でした。

AIに「考えさせる」ことと、AIに「勝手に決定させる」ことは別です。

個人開発では、後者まで行くと事故が起きやすい。特にお金、bot、外部サービス、本番環境が絡む場合は、人間承認の段を残すべきだと思いました。


6. バックアップは「ファイル数が合う」だけでは足りない

別件で、Stable Diffusion系の作業フォルダのバックアップ状態も見ました。

一見すると、コピー元とコピー先のファイル数は合っていました。

でも、サイズやハッシュを比べると、コピー先の一部ファイルに余分なバイトが付いている疑いがありました。小さなJSONファイルでも、内容の後ろに余計なNULが付くような状態がありました。

この時点で、「ファイル数が同じだからバックアップ完了」とは言えません。

そこで、小さくて重要な設定ファイル、キャラクター設定、worklogなどは、別途zipにまとめてハッシュ確認しました。

ここでの教訓は単純です。

バックアップは「コピーした」ではなく、戻せると確認したところまでがバックアップです。

特にAI画像環境は、モデル、LoRA、設定、サムネイル、JSON、worklogなど、重要ファイルが散らばりがちです。大きいファイルと小さい設定ファイルでは、守り方も変えたほうがよさそうでした。


7. 共通して効いた原則

今回の作業はバラバラに見えます。

でも、役に立った原則はかなり共通していました。

まず現物を見る

推測だけで始めない。

ログ、ファイル、プレビュー、heartbeat、zipの中身、画像サイズ、git statusを見る。

触る前に境界を決める

本番botには触らない。秘密情報は開かない。申請ボタンは人間が押す。ログ解析はread-onlyにする。

この境界があると、AIエージェントも安全に動かしやすいです。

完了条件を決める

「画像を作る」ではなく「zip、サンプル、紹介文、プレビュー確認まで」。

「VPSを見る」ではなく「heartbeat、ERROR、外部疎通、介入要否まで」。

完了条件が曖昧だと、作業は終わったようで終わりません。

記録を残す

worklogはかなり効きました。

次に同じ問題が出たとき、前回どこまで見たか、何をしていないか、何を触らなかったかが分かります。

「やったこと」だけでなく、「やっていないこと」も記録すると、後から安全です。

人間が最後の判断を持つ

AIエージェントは、調査、整理、候補作成、QA、記録にはかなり使えます。

でも、出品申請、本番botの変更、ドライバ更新、投資判断、アカウント操作のようなところは、人間が最後に見るべきです。

これはAIを信用していないというより、責任の置き場所を曖昧にしないためです。


まとめ:AIエージェントは、魔法ではなく「確認を増やす道具」

今回の作業を通して、AIエージェントはかなり役に立ちました。

ただし、それは「何でも自動で解決してくれる魔法」としてではありません。

役に立ったのは、次のような場面です。

  • 散らばった作業を順番に並べる
  • ログから現在の状態を読む
  • 提出先に合わせてファイルを整える
  • 説明文やチェックリストを作る
  • gitやバックアップの危険箇所を先に洗い出す
  • 作業後にworklogを残す

逆に、危ないのは「たぶん大丈夫」で進めることです。

AIを使うほど、確認の手順を増やしたほうがいい。矛盾するようですが、実感としてはそうでした。

AIエージェントは作業を速くできます。でも、速さは雑さで出すものではありません。

スコープを小さくし、確認を明確にし、記録を残す。そうすると、結果として速くなる。

個人開発や創作、bot運用、PCメンテをAIと一緒にやるなら、まずはこのくらいの距離感がちょうどいいと思います。


※この記事は個人の作業ログをもとにした一般的な振り返りです。投資助言、法務助言、医療助言、セキュリティ助言として書いたものではありません。実際の本番環境、出品申請、ドライバ更新、資産運用に関わる判断は、それぞれの最新情報と自己責任で確認してください。