AIエージェントと一緒に作業していると、できることは少しずつ増えていきます。

コードを直す。ログを読む。記事を書く。下書きを確認する。作業記録を残す。別のエージェントへ引き継ぐ。

ひとつずつは便利です。ところが、作業が増えるほど別の問題も出てきました。

いま進めている作業は、そもそも何のためにやっているのか。

目の前のタスクだけを追いかけると、作業は進んでいるのに、長期的な目的から少しずつ離れることがあります。

そこで、AIエージェントが読める小さな「目標台帳」を作りました。

この記事では、SQLiteとMCPを使って目標を機械可読にした理由、GitHubの作業ログと役割を分けた理由、そしてAIに数値目標を勝手に作らせないための線引きを整理します。

目標台帳は、派手な自律化の仕組みではない

最初に、できることを大きく見せないための話を書きます。

この目標台帳を作ったからといって、AIが自動で人生設計を完成させたり、重要な判断を代行したりするわけではありません。

本番環境の変更、記事の公開、破壊的な操作、資金に関わる判断。こうしたものは、これまでどおり人間が確認します。

目標台帳の役割は、もっと地味です。

個別の作業が、長期目標のどの枝に効くのかを確認しやすくする。

これだけです。

ただ、複数のAIエージェントを使うほど、この地味な確認が効いてきます。

GitHubは作業記録、目標台帳は羅針盤

以前、AIエージェント同士の引き継ぎを少し楽にするため、Private GitHubリポジトリへ作業記録を集めました。

GitHubは、次のような情報を残す場所として使いやすいです。

  • 何を調査したか
  • どのファイルを変更したか
  • どのコマンドで確認したか
  • 何をまだ本番へ入れていないか
  • 次の担当者がどこから読めばよいか

これは、いわば航海日誌です。

一方で、目標台帳は少し役割が違います。

  • なぜこの作業をするのか
  • どの長期目標につながるのか
  • 似た案が並んだとき、どちらを優先するか
  • 作業を増やしすぎていないか

こちらは羅針盤です。

航海日誌だけでも進めます。羅針盤だけでも方向は分かります。

でも、両方を分けて持つと、前へ進みながら迷いにくくなります。

SQLiteに保存した最小限の項目

今回の台帳は、SQLiteの小さなテーブルとして作りました。

保存する項目は、かなり素朴です。

goal_id
parent_goal_id
title
description
priority
status
created_at_ms
updated_at_ms

ポイントは、parent_goal_id を持たせたことです。

たとえば、最上位に「自由な時間を増やし、安心して好きなことを楽しめる状態を作る」という目標があるとします。

その下へ、次のような導線をぶら下げます。

最上位目標
├─ 収益導線を育てる
├─ 継続しやすい運用体制を作る
├─ 創作物を増やす
├─ 発信から販売ページへの流れを育てる
└─ 生活防衛を保つ

さらに「創作物を増やす」の下へ、「作品点数を増やす」「最初の売上を作る」「集客導線を育てる」といった小さな枝を足せます。

大きな目標を、そのまま巨大なToDoリストにしないことが大切でした。

目標と作業を分けておくと、今日やることを小さく切りながら、全体の方向も見失いにくくなります。

MCPで、必要なときだけ読む

SQLiteへ保存した台帳は、MCP経由でAIエージェントから読めるようにしました。

MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルを使うアプリケーションが、外部ツールやデータへ接続するためのオープンプロトコルです。

今回の使い方は単純です。

  1. 作業を始める前に、必要なら目標台帳を読む
  2. 今回の作業がどの goal_id に効くか考える
  3. 実際に進捗が出たときだけ、状態や説明を更新する
  4. 作業記録はGitHubへ残す

毎回すべての目標を読み込ませる必要はありません。

記事を書くなら、創作や集客に関係する枝だけを見る。
運用ツールを直すなら、継続性や監督負荷に関係する枝を見る。

必要なところだけ読む方が、AIに渡す情報も増えすぎません。

AIに数値目標を勝手に作らせない

ここは、とても大事な線引きです。

AIは、空欄を見ると埋めたくなることがあります。

たとえば、売上目標、記事数、更新頻度、アクセス数。数字があると計画らしく見えるので、もっともらしい値を置きたくなります。

でも、生活や体力や使える時間は人によって違います。

外から見て綺麗な数字でも、続かなければ意味がありません。

そこで、次のルールを入れました。

数値目標は人間が決める。
AIは捏造しない。
勝手に上方修正しない。
勝手に確定しない。

AIが担当するのは、候補を整理すること、既存の目標を読み取ること、実際に起きた進捗を記録することです。

目標の所有者は、人間のままにしておきます。

破壊的な変更を急がない

目標台帳があると、AIエージェントへ「もっと積極的に動いて」と頼みやすくなります。

ただし、方向が見えることと、何でも自動で変更してよいことは別です。

特に、本番環境、公開中のサイト、運用中のツール、重要な設定を触る場合は、次の原則を残しました。

  • 変更前に戻し方を確保する
  • 差分を小さくする
  • 追加で済むなら追加にする
  • まずテスト環境で確認する
  • 実際に確認できたことだけを記録する

目標台帳は、アクセルではありません。

どこへ向かうかを見失わず、安全に進むための地図です。

目標台帳を作って感じたこと

AIエージェントを使うと、作業の速度は上がります。

でも、速度が上がるほど「何を作るか」より先に、「何のために作るか」が大切になります。

目標台帳を作ってよかったのは、壮大な計画ができたことではありません。

やることを増やす前に、

これは、長期的な自由や継続性に効く作業だろうか。

と立ち止まれるようになったことです。

GitHubに航海日誌を残し、SQLiteの目標台帳で羅針盤を持つ。

AIエージェントへ全部を任せるのではなく、人間が方向を決め、AIには迷子を減らす手伝いをしてもらう。

今のところ、そのくらいの距離感がちょうどよいと感じています。