小さなパン屋だったジャムリスが、戦争の気配の中で「食べさせること」の意味を知っていく、飢えと赦しの戦後寓話の第1話です。
BEARS WAR 断章集
可愛い世界の皮をかぶった、飢えと赦しの戦後寓話。くまとパンと蜂蜜の物語であり、憎しみを抱えたまま誰かを救う物語です。
くまとパンと蜂蜜の、可愛い童話風の世界。
けれどその内側にあるのは、飢え、戦争、配給、赦し、そして戦後という壊れかけた食卓です。
BEARS WAR 断章集は、憎しみを消せなかった者たちが、それでも次の飢えを止めようとする反戦寓話です。
この世界の平和は、完成品ではありません。誰かが壊れないように支え続けている、仮設の食卓です。
一文でいうと
BEARS WARは、可愛いくまとパンと蜂蜜の世界を通して、飢えが礼節を壊し、食が救いにも兵站にもなることを描く反戦寓話です。
すすめたい読者
- 可愛い童話風の皮をかぶった重い寓話が好きな人
- 戦争そのものより、戦争で壊れていく食卓や礼節を読みたい人
- 「赦し」を綺麗な浄化ではなく、怒りを抱えたまま選ぶ行動として読みたい人
この連載の芯
- 飢えは礼節を壊す
- 食は人を救うが、同時に奪い合いの中心にもなる
- 赦しとは、怒りが消えることではない
- 憎しみを抱えたまま、破壊以外の行動を選ぶことが救済である
- 優しさとは、憎しみがないことではなく、憎しみを抱えたまま次の飢えを止めること
用語メモ
ピースメーカー・ノーモアウォー
戦争を知ってしまったパン屋が背負った、長すぎる誓いの名。短くしないこと自体が、彼の生き方を示している。
鬼の形相でパンを配る
この連載の核になる行動。怒りや憎しみが消えたから救うのではなく、それらを抱えたまま、次の飢えを止めるためにパンを渡すこと。
パンは兵站である
パンは優しさであり、命をつなぐ食べ物であり、同時に戦争を回してしまう補給線でもある。
主な登場者
ジャムリス・ピースメーカー・ノーモアウォー
かつてはジャムリス・ブレッドライクと呼ばれたパン屋。戦争によって「ただのパン屋」でいることを奪われ、戦後は食を配ることで戦争を終わらせようとする。
あまりにも長い名なので、旧友たちはたまに「長い。いや、なげぇ」と言う。けれどジャムリスにとって、それは改名ではなく、生き方そのものを変える誓いだった。
ロード・マーマレイド
礼節、格式、紅茶、マーマレードを重んじる帝国の主。静かな威厳を持つが、旧熊大戦の記憶を深く抱えている。
マスター・ハニーヴェール
蜂蜜、友愛、素朴な温もりを掲げる連合の象徴。穏やかに見えるが、それは飢えと喪失を知ったうえでの静けさである。
バタリア・エンジェルガード
ジャムリスの弟子。優しさと実務を受け継ぐ者。ただし聖人ではなく、怒りと憎しみを抱えたまま配給を選ぶ。
チーズハウンド・ゴッドスピード
神速の配給者。飢えを察し、誰より早く届ける。忠実でありながら、怒りと牙も持つ。
連載予定
- ジャムリス・ブレッドライク
- パンは兵站である
- 旧熊大戦
- グリムグリズ大王の優しすぎる悪
- ロード・マーマレイドの紅茶
第1話から読むと、パン屋だったジャムリスが配給の人へ変わっていく過程が順番に追えます。
キャッチコピー候補
これは、くまとパンと蜂蜜の物語。そして、憎しみを抱えたまま誰かを救う物語。
赦しとは、怒りが消えることではない。怒りを抱えたまま、次の飢えを止めることだ。
ピースメーカー・ノーモアウォー。
長すぎるその名は、戦争を知ってしまったパン屋が、二度と戦場へパンを渡さないために背負った誓いである。
まずは第1回から。
パンの香りが、まだ誰も殺していなかったころの話です。
この連載の記事
パンは優しさであり、兵站でもある。小さな配給台帳が前線の地図へ変わっていく、飢えと赦しの戦後寓話の第2話です。