ジュール、ワット、ニュートン、ヘルツ。名前は別々ですが、SI単位を分解すると多くがkg・m・sへ戻ります。

子どもは相関図と言葉だけ、大人の学び直しではその下の式まで読む構成です。記号を忘れたときは物理の単位・記号ミニ用語集へ戻れます。

まず相関図

Hz = 1/s

kg × m/s² = N(力)
N  × m    = J(エネルギー)
J  ÷ s    = W(仕事率・電力)
W  × h    = Wh(エネルギー、1 h = 3600 s)

基本式にすると次の通りです。

単位意味kg・m・sでの表現
Hz周波数s⁻¹
Nkg·m·s⁻²
Jエネルギー・仕事kg·m²·s⁻²
W仕事率・電力kg·m²·s⁻³

上付きの²は同じものを2回掛ける、⁻²は2回割るという意味です。たとえばm/s²は、速さが1秒ごとにどれだけ変わるかを表します。

Jがkg・m²/s²になるまで

ニュートンの運動方程式F = maから、力の単位は次のようになります。

N = kg × m/s²

仕事は、力に移動距離を掛けたものです。

J = N × m
  = kg × m/s² × m
  = kg·m²/s²

さらに、1秒あたりのエネルギーがWです。

W = J/s
  = kg·m²/s³

現在のSIは「物差しの原器」より定数を使う

現在のSIは、自然界の定数へ正確な数値を割り当てて基本単位を定義しています。ここで秒、メートル、キログラムがつながります。

秒:セシウム133の周波数

セシウム133原子の特定の遷移周波数ΔνCsを正確に9,192,631,770 Hzとすることで、秒が定義されます。

Hzは1/sです。つまり秒は、原子が示す非常に安定した周期を数えることで実現されます。

メートル:真空中の光速

真空中の光速cを正確に299,792,458 m/sとすることで、メートルが定義されます。

秒が決まれば、光が一定時間に進む距離からメートルを実現できます。

なぜ光速が単位系だけでなく相対性理論やエネルギーの式にも現れるのかは、光速cが単位系と相対性理論を結ぶ理由で詳しく整理しています。

キログラム:プランク定数

プランク定数hを正確に次の値とします。

h = 6.62607015 × 10⁻³⁴ J·s

J = kg·m²/s²なので、単位を分解するとこうなります。

J·s = kg·m²/s

メートルと秒がすでに定義されているため、hの数値を固定するとkgも定まります。BIPMはキログラムをこの形で定義しています。

「kgは量子の振動」は半分近くて、半分違う

量子論では、光子のエネルギーと周波数に次の関係があります。

E = hν

ここでは、プランク定数hが周波数νとエネルギーEを結びます。その意味で、周波数・エネルギー・質量の単位は深くつながっています。

ただし、1 kgの物体が特定の周波数で振動しているから1 kgになるという意味ではありません。SIの定義は、hの値を固定し、電気的・機械的な測定を通じて質量を実現できるようにしたものです。実用上はキブルバランスなどが使われます。

hが時間のhと紛らわしい

同じ小文字hでも文脈で意味が変わります。

  • 数値の後ろのh:hour(時間)
  • 数式中の斜体h:Planck constant(プランク定数)

たとえば1 Whのhはhour、E = hνのhはプランク定数です。

光速とプランク定数だけでは重力は出てこない

ここまでで量子論のhと、相対論で重要な光速cが登場しました。しかし重力まで同じ尺度で結ぶには、万有引力定数Gも必要です。

cGを組み合わせるとプランク長、プランク時間、プランク質量が作れます。この先はなぜ時空は布にたとえられるのかで扱います。

まとめ

Hz = s⁻¹
N  = kg·m·s⁻²
J  = kg·m²·s⁻²
W  = kg·m²·s⁻³

秒       ← セシウム周波数 ΔνCs
メートル ← 光速 c
kg       ← プランク定数 h

単位は別々の暗号ではなく、測れる量同士の関係を短く書いたものです。

参考にした公的資料