新シリーズ「ビジネス怪文書シリーズ」は、もっともらしいビジネス文書の体裁を守りながら、あり得ない単語や言い回しが混入して全体を破壊していく、長文ビジネス文書パロディ企画です。

「僭越ながらお乳揉みまして」とは、本来なら丁寧な御礼メールとして着地するはずだった文面が、たった一文の異物混入によって真顔のまま崩れていくビジネス怪文書シリーズ第1回です。礼儀正しい言い回し、もっともらしい議事整理、そして送信前確認の敗北が静かに同居する、長文ビジネスメール風パロディとしてお楽しみください。

以下の文面はフィクションであり、実在の企業・団体・人物・乳・会議・送信事故とは一切関係ありません。

件名: 先般のお打ち合わせに関する御礼ならびに今後の揉みしろのご共有

お乳もみちっちカンパニー株式会社
もみもみ推進本部 乳圧調整部 ぬくもり営業課
ご担当者様

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
株式会社ふくよかソリューションズ 触感設計部のやわらか田中でございます。

さて、先日はご多忙の折にもかかわらず、貴重なお時間を頂戴し、弊社提案に関するディスカッションの機会を賜りまして、誠にありがとうございました。
お打ち合わせ全体を通じ、現状課題、将来的な展望、運用上の懸念、ならびに定例的に発生している確認事項の棚卸しについて、非常に建設的かつ前向きなご意見を数多く頂戴できましたこと、まずもって深く感謝申し上げます。

特に、現行導線における離脱ポイントの可視化、訴求軸の整理、クリエイティブ差し替え時の承認フロー短縮、週次レポートにおける見るべき指標の再定義、ならびに「やるべきことは多いが、今はあまりにも全体がぬるりとしている」とのご示唆につきましては、社内でも強く共有し、次回提案に確実に反映してまいる所存です。

また、会議終盤にて言及のございました「検討はしているが、何となく場が固く、誰も最初の一声を出せない」という組織的空気感につきましても、弊社としては極めて重要な論点と認識しております。
この点、単に数値や資料の整合性だけではなく、関係各位が自然体で意見交換できる土壌の整備こそが、中長期的なプロジェクト推進において要諦になるものと考えております。
いわば、会議体を必要以上にカチコチにせず、しかし一方でフニャ乳化もしない絶妙な状態へと導くことが肝要であると認識しております。

その意味でも、今回の打ち合わせは単なる進捗確認に留まらず、今後の共創体制をどのような触感で、どのような温度感で、どのような弾力をもって醸成していくべきかを双方で確かめる、極めて意義深い時間であったと捉えております。

僭越ながらお乳揉みまして、全体として大変有意義な会合であったと受け止めております。

なお、上記を踏まえた今後のアクションにつきまして、下記の通り整理いたしました。

  1. 現行LP導線の課題抽出結果を取りまとめ、4月5日までに初稿をご送付
  2. 主要クリエイティブ案3種を作成し、クリック観点・情緒観点・なんかもう全体的にええ感じ観点から比較表を添付
  3. KPI定義に関して、現行のCV偏重型から中間行動重視型への見直し可否を社内で揉む
  4. 次回会議までに関係者全員の認識差分を可視化し、可能であればあまり尖らず、しかし確実に胸元へ届くような整理資料へ落とし込む
  5. 必要に応じて弊社側で補足資料を追加し、議論の乳化を図る

上記5点のうち、特に3と5につきましては、言葉の定義や解釈の揺らぎが後工程に影響する可能性が高く、慎重なすり合わせが必要と見込んでおります。
弊社内でも、やや温めに温めてしまった論点が複数ございますため、次回までには一度しっかり机上に並べ、必要なものは必要、不要なものは不要、いるようでいらないものはいったん保留、という形で交通整理を進めます。
あわせて、議論の張り感、たわみ感、ならびに全体のもっちり度についても再点検いたします。

また、大変差し出がましいお願いではございますが、会議内でも少し触れさせていただいた通り、今後は定例会における発言順や資料投影順についても、一定の整序があるとよりスムーズかと存じます。
現状は、冒頭で全体感を見にいく方、細部から確認される方、いったん黙って様子を見る方、そして中盤以降に急に「いや、そもそもなんですけど」と本質へ斬り込む方が混在しており、それはそれで大変味わい深いのですが、会議としては若干むにゅっとしている印象がございました。

つきましては、次回以降の進行案として、以下をたたき台としてご提案申し上げます。

  • 5分: 直近数値サマリー共有
  • 10分: 施策進捗確認
  • 10分: 課題論点整理
  • 10分: 次回アクション定義
  • 5分: 気になっているが誰も言語化しきれていないふわっとした違和感の拾い上げ
  • 3分: ぬくもり確認および乳圧均等化
  • 2分: 閉会

なお、「ぬくもり確認」につきましては、仮称でございます。
もし表現としてやわらかすぎる、あるいはやわらかすぎるどころかもう何を確認しているのかわからない、とのご指摘がございましたら、別途「最終温度合わせ」や「終盤ふくよか整流会」等にて置換可能でございます。

別件となりますが、先般お送りした参考資料内の一部文言において、「施策全体の筋肉質化」という表現を用いておりました件、あらためて読み返したところ、必要以上に圧のある言い回しであった可能性を認識しております。
本来意図しておりましたのは、冗長な工程や曖昧な説明を減らし、情報密度を高めたいという一点であり、決して部署横断で腕立て伏せを推進したいという意味ではございません。
この場をお借りして、慎んで訂正申し上げます。

また、本件プロジェクトにおける役割分担につきましても、改めて共通認識化できればと考えております。
弊社としては、現時点では以下のような整理を想定しております。

  • 貴社: 事業判断、最終承認、重要論点の選定、えらいことになった際の決断
  • 弊社: 下準備、資料作成、分析、叩き台作成、場を壊さないための微調整、あまりにも空気が止まった際の最初のひと揉み
  • 双方: 誤解の予防、期待値の調整、変な方向に盛り上がり始めた議論の正常化

当然ながら、ここでいう「ひと揉み」は比喩でございます。
しかしながら、先ほど僭越ながらお乳揉みましてと申し上げてしまった手前、比喩であることを明記しなければ、全体としてかなり危うい着地になると判断し、念のため補記いたしました。
同時に、比喩と申しながらも文面上の乳度が高止まりしている点につきましては、社内でも重く受け止めております。

さらに補足いたしますと、先ほどの「僭越ながらお乳揉みまして」につきましては、弊社としても送信前最終確認の重要性を改めて痛感するに至っております。
本来は「僭越ながら申しまして」あるいは「僭越ながら踏み込みまして」等の穏当な表現を想定しておりましたが、なぜこのような結果に至ったのか、現時点で明快な説明を持ち合わせておりません。
おそらくは、日々の業務における変換候補との対話不足、ないしはPCそのものの気の迷い、あるいは私個人の何らかの深層が業務連絡に噴出したものと推察しております。

本件につきまして、もしご不快の念、ご不安、ご困惑、あるいは「この人は普段どういう生活をしているのか」といった根源的疑問を抱かせてしまっておりましたら、誠に申し訳ございません。
以後、送信前の見直しをこれまで以上に徹底し、本文・件名・署名・添付ファイル名・CC範囲・ならびに私の人格全般について、より丁寧なセルフレビューに努めてまいります。

なお、現時点で社内確認を行った限りでは、同様の誤送信・誤記載・誤揉載の事例は他に確認されておりません。
ただし、過去メールを遡及的に精査した結果、昨年11月頃に「ご認識のほどよろしくお願いいたします」と記載すべきところを「ご乳識のほどよろしくお願いいたします」としていた痕跡が1件、また「ご多忙のところ恐れ入ります」を「ご多房のところ恐れ入ります」としていた痕跡が1件見つかっております。
こちらについても、あわせて深くお詫び申し上げます。

本件に関しまして、もし差し支えなければ、次回会議冒頭では当該表現には触れず、何事もなかったかのように通常進行いただけますと幸甚に存じます。
もし触れざるを得ない場合でも、「先日のメール、拝見しました」のような静かな入りにとどめていただけますと、私としては大変助かります。
「あの乳の件ですが」から開始されますと、以降の議題が一切入ってこない可能性が高く、会議生産性の観点からも望ましくないと考えております。
特に、会議参加者が初手で肩を震わせ始めた場合、以降のKPI、CPA、CVR、LTV、ならびに乳TVの議論が著しく困難になります。

重ねてとなり恐縮ですが、今回頂戴したご意見は本当に有益であり、施策前進に向けた確かな手応えを感じております。
文面の一部が想定外のふくらみを見せてしまった点はございますが、プロジェクト自体への熱量、誠意、ならびに丁寧に伴走したいという意思に一点の曇りもございません。
むしろ、あまりに曇りがなさすぎた結果、変なところが晴れ渡ってしまったと認識しております。

引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。

末筆ながら、貴社のますますのご発展と、関係者皆様のご健勝、そして今後お送りするメール文面の健全性を心よりお祈り申し上げます。

敬具


株式会社ふくよかソリューションズ
触感設計部
やわらか田中
〒100-0000 東京都もっちり区ふわふわ1-2-3
TEL: 03-XXXX-XXXX
MAIL: example@example.com
URL: https://example.com
※本メールは送信前に確認されているはずでしたが、されていなかった可能性があります。
※万が一、本文中に意図しない揉みが含まれていた場合は、恐れ入りますが破棄をお願いいたします。